節目の年を迎えるにあたって
私たちJ-VAC は、2002 年6 月、日本で最初のISO マネジメントシステム認証事業を立ち上げ、国内のISO 認証事業を先導してきた森田允史が、自らの信じる「付加価値のある」ISO 認証サービスを提供するために創業されました。
それまで、大企業・製造業が中心になって導入してきたISO マネジメントシステムでしたが、特にISO9001 の2000 年改定を機に、中小企業や非製造業にも広く導入されるようになるに伴い、それらの組織にとって過剰な文書や管理など、組織の実情に合わない運用を強いられることがISO マネジメントシステム導入における問題点として浮かび上がってきました。
このような状況に、「このままではISO はダメになる」と危機感を抱いた創業者・森田允史は、それまでの手順書や記録偏重のシステムではなく、組織のそれぞれのリスクや実際の活動を重視し、それぞれの組織の実情に即した審査を実施し、形骸化したシステムを助長することなく、実質的な問題を洗い出すことが真の「付加価値」であるとの信念から、62歳を過ぎて一念発起して創業したのが、J-VAC でした。
そして、ISO9001 やISO14001 の 2015 年改定によって「組織の状況」や「リスクへの取り組み」、「事業プロセスへの統合」がマネジメントシステムの重要な要素となっている現在の状況を考えると、この創業時の信念が先見的で正しいものであったとの確信を抱いております。
設立にあたっては多くの理解者・協力者があり、中でもオーストリア最大の認証機関であるQuality Austria からは設立当初の認定面で多大な支援をいただき、そのパートナーシップは現在も続いています。
また、ISO マネジメントシステムに関する世界的権威であり、ISO9001 規格開発にも直接関わっているDr Nigel Croft は、森田允史の理念に共鳴し、創業時からマネジメントの一員としてJ-VAC に参加し、主に技術面で現在も多大な貢献をしています。小規模な認証機関でありながら、このような海外との親密なネットワークを維持していることは、規格の本質的理解という点でJ-VAC の大きな強みをもたらしています。
グローバル化の進展やテクノロジーの進歩、そして世界的なパンデミックの発生や持続可能な社会の希求といった激変するビジネス環境の中、ISO マネジメントシステムもそれらの変化に柔軟に対応しつつ、最大限の成果をもたらすことが今まで以上に求められてきています。
創業から20 周年の節目の年を迎え、私たちJ-VAC は、このような時代で求められるISO マネジメントシステム認証のあり方を今後も追い求め、組織の持続的な成功と持続可能な社会の実現に向けて貢献して行きたいと思っています。
代表取締役社長 森田 浩三
代表取締役副社長 森田 裕之
J-VACの20年を振り返って
こんにちは、J-VACの技術担当非常勤取締役のナイジェル・クロフトです。
このようなメッセージを、これまで20年にわたってJ-VACをご支援いただいたみなさんにお送りできることを大変嬉しく思います。
私が森田允史氏と初めて会ったのは約25年前でした。
その時私たちは共通の理想を持ちました。 ISO9001の1987年版や1994年版に基づいた当時の品質マネジメントシステムの多くは非常に官僚的なものでした。 そこでは何でも文書化することが期待され、それは「システムの文書化」というよりも「文書化のシステム」というものになってしまっていました。
ISO9001:2000年版で規格の意図は大きく変わりました。 そして森田さんと私は認証機関の新しいコンセプトを考えました。
官僚的で文書化偏重の重いシステムではなく、組織に対して「付加価値」を与える認証です。
そしてそのような考えから、J-VAC(Japan Value-Added Certification)は20年前の2002年に誕生し、認証ビジネスを開始しました。
アイデアは非常にシンプルなものでした。
もちろん、認証機関として、私たちは認証組織だけではなく、全ての利害関係者に対して、私たちが認証する組織がISO9001や14001、その他のマネジメントシステム規格の要求事項を満たしており、提供される製品・サービスや環境、安全衛生上のパフォーマンスが期待された結果をもたらしていることを確実にする責任があります。
ISO9001の例で言えば、組織が一貫して適合した製品・サービスを提供することの信頼性と能力を提供することを目的としています。 もしシステムがその目的を達していないのであれば、そのシステムは効果的とは言えませ ん。
もちろん、JABの認定でも要求されているように、私たちが審査する全ての組織は規格の要求事項を満たしていなければなりません。 しかしそれは、追加的な要求事項を付加することを意味しません。
残念ながら認証機関や審査員によっては、いまだに20年前の考え方に基づいて官僚的な要求がされてしまうことがありますが、それはプロセスやその有効性を見て、プロセスがどのように管理されているかを見ることができず、手順書が文書化されていて、証拠が正しく記録されているかどうかだけを見ようとしてしまうためです。
実際、ほとんどのマネジメントシステム規格はそのようなことは要求していません。 もちろん、プロセスが適切に管理されること、つまりPDCAサイクルに従って計画され、実施され、チェックされ、必要な是正処置が取られることは要求しています。 そして文書化のレベルや注意を払う程度は、マネジメントシステムの意図した結果の達成に対してそのプロセスが持つリスクによって異なるのです。
この20年間、私たちがしようとしてきたことは、認証機関としての私たちの創業の考え方を維持し、このような考え方を推進することです。 認証機関としてはコンサルティングを提供することはできませんし、すべきでもありません。
しかし、私たちは実際的なサービスを提供し、認証組織がより良くなり、全体の戦略的なゴールを達成する上で合理化された効果的なマネジメントシステムを統合的な形で運用することができるための手助けとならなければなりません。
このようなメッセージをお伝えできることを大変光栄に思います。
森田允史氏と、そしてこの数年彼を引き継いでJ-VACを率いている森田浩三氏、森田裕之氏の幸運をお祈りしています。
皆様とも近いうちに直接お目にかかれることを望んでいます。
世界的な新型コロナのパンデミックの中で難しい状況にはありますが、私たちはそれを乗り越え、リモート審査の手法を開発し、お客様に付加価値のあるサービスを提供し続けています。
皆様、どうも有難うございました。
皆様の幸運をお祈りすると共に、変わらぬご支援に心より感謝申し上げます。
株式会社 ジェイ-ヴァック 技術担当非常勤取締役
ISO JTCG(合同専門調整グループ)議長
Dr Nigel H. Croft